apple banana orange

バッグひとつ、スニーカーを履いて。

その後、どうなりました?

予測できるような気がする毎日でも、やっぱりわからないことはたくさんある。バス停でバスを待っていたところ、話しかけてくる人がいた。よくあるのは、どのバスに乗ればわたしの希望の場所へ行けるのか? というものだと思う。日本語の場合もあるし、英語の場合もある。しかし今日出会った人は、全く違うパターンだった。携帯キャリアのドコモのハガキを見せられ、ここの住所に行きたいのだが、2000円ばかりいただけませんか?と言われたのだ。ハガキを見ると、市内のある区域が書かれていた。たしかに歩いていくにはかなり骨が折れる。この人は、なぜドコモのハガキを持ってここにいるのだろう?気を失っていて、気付いたらそのハガキだけを握りしめていた、といった感じだろうか。手がかりはハガキだけ。自分が誰なのかを知るために、そのハガキに書かれた場所に行く必要がある。そしておそらく、そこはどのくらい遠いかわからない。だからとりあえず2000円もらってみようということだろうか?僕の感覚からすると、多くても500円あればそこにたどり着けると思うんだけど、記憶がないならそれもわからない。それに交通費だけじゃないかもしれない。暑くなって、缶ジュースが欲しくなるかもしれないし、その住所にいる誰かのために、お土産を買う必要があるかもしれない。なるほど、2000円あれば、それは実現するだろう。しかし、1人から2000円もらうのはなかなか大変なのではないだろうか。僕だったら20人の人に声をかけて、100円ずつめぐんでもらう。そのほうがもらえる可能性が高いと思うんだよね。まあいいや。結局どうしたかというと、僕もそんなにお金を持っていないんです、ごめんね、と言ってあきらめてもらった。残念ながら嘘じゃなくて、本当に300円しか持っていなかったのだ。僕だって誰かがくれるなら2000円欲しい。その人はしょんぼりした顔をして、たまたま来たバスに乗ってどこかに行ってしまった。引き際が早い。、、、、ん? バス代あるの?