apple banana orange

バッグひとつ、スニーカーを履いて。

仕方ないで済ませたくないなぁ

機械みたいにならざるを得ない社会の仕組みを、ちょっと悲しいなと思う。面接に行くと、テープを再生したかのように完璧で、抑揚がなく平坦で、でも聞き取りやすい説明をしてくれる人たち。僕はいつも元気に喋り過ぎてしまうから、面接は全部落ちる。入社したらやってみたいことはありますか? と訊かれるから、つい、あの空いているスペースを利用してこれこれこんなイベントをやってみたら楽しいと思う、などと提案する。従順な店員が欲しい店はオリジナリティやユニークさなんて求めていないんだ。時間通りに来て、マニュアル通りに動いて、お店を回転させてくれればいい。だから僕は落ちる。

笑顔で元気な方を大募集っていうお店で実際に働いている店員さんを見ると、無表情で疲れきっている人も多いし、無意味に「ごらんくださいませ、ごらんくださいませ」と繰り返している。店に来てるんだから言われなくても見てるよ。偽りでも声を出して、店に活気があるようにみせないと上司に怒られるもんな。働くっていうのは、お金をもらうっていうのは、そういうことなんだよって言われても、なんだか変だなと思う。

お客さんもきっと、コミュニケーションをあんまり求めてないんだな。欲しい物がスムーズに買えて帰れればそれでいい。不愉快な点があったら怒れば、恐縮して謝罪を繰り返されるからいい気になる。他の店に行くからもう2度と来ないと言われれば、死活問題だもんな。立場を利用して威張り散らす人を、僕は好きではないけれど。損得関係なくとも、お金が絡まないところでも、人が集まってきて好かれる、そんな人になりたいじゃん。